物理インフラの基礎知識
物理インフラとは、データセンターやサーバールームのネットワークやサーバー機器同士を接続するために必要なネットワークケーブルや配線ルート、さらにはサーバーラック・ケーブルラック及びそれらに付随する物理的なもののことを指します。
一般的にサーバールーム内では物理インフラよりも電源や空調といった設備の方が重要視されることが多いですが、実は、物理インフラはデータセンターにとってこれらの設備同様に重要な要素になります。
なぜなら、物理インフラはデータセンターやサーバールームのネットワークやシステムそのものを支える基盤になっており、物理インフラの品質はそのままITシステムの信頼性に影響を与えることになるからです。
たとえば、どんなに信頼性の高い設備を設置しても、どんなに高価なネットワーク機器を採用しても、ケーブルがぐちゃぐちゃになってしまうとケーブルの抜き間違い・刺し間違いなどが生じる可能性が高くなったり、あるいは何がどこに繋がっているのかさえ把握できないなど、データセンターとしての信頼性は低くなってしまいます。また、運用中の作業頻度で考えても、空調や電源関連での作業よりはるかに多くの作業が発生するのも物理インフラです。つまり物理インフラの品質を維持する事が、ITシステムの安定運用には必要不可欠であり、長期間の運用でもきちんと管理ができるようなルール作りも大切です。
さらに物理インフラは、システム内の機器間を接続するケーブルだけでなく、データセンターの基幹となるネットワークに必要なケーブルもあります。重要性や役割、影響範囲、作業頻度に合わせて最適化したケーブリングや配線デザインを行う事で、過剰な投資を防ぐ事ができます。また、単に安価にするためだけの目的で、信頼性や作業性、管理性を損なってしまう結果にならないようにすることが大事です。物理インフラは、その名の通り物理的なものであるため、設計段階から十分に考慮する必要があります。
ケーブリングの品質がデータセンター・サーバールームの信頼性・品質に直結します。データセンターの安定稼動のため、長期的な視点に立って計画的な物理インフラを構築することが非常に大事です。